004:She is an Elephant

「ははは、ライザ病か!私はカニバル病を推すがね」
 「ああ、確かにカニバリズムと言うし誤解を生んでしまうかもな」
 「けど、もしかしたら、私より君の名の方が有名になるかもしれないよ。そんなに驚くことないだろ」
 「君が最初の発症者なんだから。行動は愚直だが素晴らしい貢献者だ」
 (私が)

 「ライザ病‥‥!?」
 …
 …
 「す‥すみません白昼夢見ちゃって」「良い機会です」
 「大多数のウィッチャーが発症し、身体能力の著しい低下により退職に追い込まれるライザ病の感染経路を答えなさい」「えっ」
 「えっと、真銀です」
 「不正解」
老女教師「マジシャンとの過度の接触です」トパゾス「え」老女教師「真銀が原因なら私たちは真銀に触れないでしょう」/トパゾス「え…。は‥はい」//細身男性教師「それでは入試一位だった生徒、マジシャンにつかまると身動きが取れなくなる理由は何だ?」/トパゾス「ヘキサグラム細胞が」細身男性教師「勝手に細胞を作るな」「マジシャンに流れる電流で感電するためですよね」細身男性教師「よろしい、さすがルシウス次期当主だ」/肉厚男性教師「戦闘服と制服には微量ながら何が編み込まれているかな?」/トパゾス「えっ、あの…」肉厚男性教師「真銀だよ。マジシャンから体を守るためだ」
「マジシャンとの過度の接触です」「え」「真銀が原因なら私たちは真銀に触れないでしょう」
 「え…。は‥はい」
 
 「それでは入試一位だった生徒、マジシャンにつかまると身動きが取れなくなる理由は何だ?」
 「ヘキサグラム細胞が」「勝手に細胞を作るな」
 「マジシャンに流れる電流で感電するためですよね」「よろしい、さすがルシウス次期当主だ」
 「戦闘服と制服には微量ながら何が編み込まれているかな?」
 「えっ、あの…」「真銀だよ。マジシャンから体を守るためだ」
「俺たちはなぜ真銀戎具を発現できるんだ?」
 「ま‥真銀が…体内にあるから?」
 「空間把握能力が高いからだ。三次元に強いため脳の中の武器のイメージをほぼ正確に真銀に投影できる。だから運動が苦手な奴でも戎具は発現できるんだ」
 …
 「トパゾス大丈夫?シワス先輩に変なこと教えられた?」「ち、ちがうよ。なんか間違えて覚えてたみたい‥」
 「どうだか、あの人マジシャンも真銀だとか言ってたでしょ」「でもボクはシワスさんの考え好きだよ」「ぎゃはははははは」
「こいつマジシャンが真銀とかマジで言ってんのかよ!本当に一位なわけぇ!?」「だったら私らが持ってるのってなんなの~?」「サチの娘だから点数かさ増しされたんじゃねーの?」
 「あんた達ね‥!」「い‥いいよオリビン。実際にそうなのかもだし…」
 「あんたまで‥」
 「取り消せ」
 「テクノカット!?」「ル…ルシウス」
「こいつを侮辱することはこいつに負けた僕を侮辱することだ」
 「多少欠点を見つけた程度で優秀面かい?」
 「べ‥別にトーマスくんのことじゃ‥」「じゃあお前に勝ってやるよ」
 「おい!名家相手はやめとけ!」「家がでけぇだけで調子乗んなよボンボン!!」
 「しゃしゃりの平民には身の程を教えてやる」「トムくん待って!」
 パァァン
「迷える子羊はいらっしゃいますか?」
 「実技場で模擬戦を行うよりも、わたくしに懺悔をいたしませんこと?」
 「我が唯我独尊教は貴方がたを歓迎いたしますわ。いいえ、そもそも唯我独尊教とは皆の心に必ず在るものですから貴方がたも既にわたくしの教徒であり」「えっ!?えっ‥‥えっ!?」
 「俺カトリックなんで!!」「ぶ‥仏教!」「何だこいつ!?」「あら~」
 ポカーン
 「もし、そこのブロンドの貴方」「えっ!?はい‥」
 「青空の下お茶をご一緒して下さる?」
「わたくし、七回生医療科のブルー=ソフィアと申しますの」「ボ、ボク、トパゾスです」「まあっ素敵なお名前ですわね」
 「おい食いしん坊、なんであのカルト女がロリゴスを連行してんだ!」「先輩。知り合いですか、あの人」
 「生徒全員を自分の宗教の教徒だと認定している同回生だ」「もしかして真銀戎具って頭おかしい人しか使えないとかある?」
 「あいつはもう手遅れだからお前だけでも逃げろ!」「何でお尻触りながら言ってんの」
 「あら~」「?」
「貴方、シワスさんと同じ所属になった子ですわよね」「はいっ、お友達なんですか?」
 「色欲魔で嫌いですわ」「えっあ‥、すみません…」
 「嫌いですけど発想に興味がありますので。お友達になって差し上げてます」(あ、すごくシワスさんのお友達って感じだ…)
 「貴方も似たような回答をしたんでしょう?どこから発想を得たんですの?」「えっ。いや。ごめんなさい、ボクは科学とかじゃなくて」
 「下らないかも…」「あら、いいじゃありませんの」
 「下らないことは楽しさに必要ですもの」
「ゆ…夢です」
 …
 「呆れてますか?」「いいえ続けて」
 「夢の中で、いつも知らない人達が話しているんです。夢の中のボクは多分、その人達の知り合いで。その人達はマジシャンや真銀に関わりがあるみたいで‥。いつも夢の中で何かをしてて…」
 「ボクも時々います、でも、二年前の姿なんです‥‥夢の中でパパやママや‥友達が出てきたことは一度もありません」
「貴方はそれがきっかけでウィチェストになろうと?」「それはママにあこがれて‥‥真銀取り扱い免許だけならウィッチャーにならなくても取れるのでっ!」
 「でも、もしかしたら。私がボクになる前のこと‥‥思い出せるかもとは思ったのかな…」
 「ブルーさんはこういうのを神様のお告げだと思うんですか?」
 「わたくし神は信じていませんの」「ええっ!?」「唯我独尊教は己が神ですわ」
 「己を世界の中心だと思い、常に己を罰し、常に己を律し、常に己を讃える。それが我が教の真髄」
「妙な夢でも依存せずに糧になっているのなら、貴方にとってきっと良いものですわ」
 「はいっ」
 「こんな素直な子をお友達からずっと独占するなんて罰が下りますわね」「えっ!?と、とんでもないです」
 「こちらお近づきの印ですわ」
 〈Witings of ONLY HOLY〉
 「あ…‥ありがとうございました…」「御機嫌よう」
「校長派と理事長派ですか?」「ユリウスは他と違って代々親子で学園管理してんだが、今の校長は自分の親父を蹴落として校長になったわけだ」
 「戦闘科総括のうちのシキは校長兼理事長代理のソニー派で、他の学科の総括教諭は理事長派。ブルーは医療科総括のステンシ女史の腹心だ」「関わっちゃダメってこと?」
 「シキ含めて客観的に関係観てろってことだ。何が理由でそうなってんのかがわからんからな俺も」「何で一番重要なとこを知らないの」
 「ただの噂話だからだよ」
「君か、僕の同回生に妙なことを吹き込んでいるのは」
 「テクノカット!」「お前の中のボクのイメージそれしかないのか!?」
 「いやそれより君だ君!僕の同回生に絡まないでくれ!君の嘘を信じて恥をかいた子がいる!純真さを弄ばないでいただきたいね!」
 「ご生憎様俺は仮説は立てるが嘘は並べねぇんだよ全身ヘタレ!!」「科学者気取りのオカマ眼鏡め!僕はルシウス長男として先生らと社交するが彼らはいたって温和な関係だ!」
 「そうなのか?ますますあいつら何で若干の距離感保ってんだろうな」「何で急に物分かりがいいんだお前!?」「何の話?」「中身のない会話。おかえり」
「お前も人間関係の闇の深さを聴くか?あの破廉恥サイコ尼の深淵より覗き甲斐があるぜ」
 「あいつ死ぬまで喋るのか?」「死んでも喋ってそうだけど」
 「ところで君。教室でのことといい、僕に言うべき言葉があるんじゃないかい?」
 「うん。助けてくれてありがとう」
 「オリビンもありがとう」「別に」
 「はぁ?僕は間接的に僕を馬鹿にされたから腹が立っただけだ!」「あ?」「君が口にすべきは僕の立場への謝罪だろう?そもそも君が一位であることには僕もさらに疑いしか持てないね!」
「でも坊ちゃんトパゾスに一目惚れしたんだろ」「「はぁ!?」」
 「俺のチームメイトが『実技の時見惚れてた』つってたぞ」「サチに似てたからだ!!」「そうですよシワスさん」
 「トムくんが好きなのはオリビンです」「「絶対違う!!!」」
 「えっ‥でも男の子は好きな子にいじわるするってお兄ちゃんが」「こんなんに好かれてたら身投げするわ!!」「何だとこのゴリラ女!!」「お前ら揃うと面白ぇな」
 
 「カニバルさんの依頼ねぇ。新人研修にゃあ不釣り合いだがなぁ」
「彼も命を狙われ始めてますから。悠長に構えてたら私たちも死ぬかも」「焦っても墓穴だぞ」
 「さっきもステンシ先生がブルーをうちの新人に遣してた」
 …
 「では彼女自身には何もないのですね」「メルヘンなだけですわね、もう一人も世間に少々疎いくらいでしょうか」
 「それでも不思議ですわ、名家でもないのに初日でチームに入れるなんて。操り人形を増やしているのかしら」
 「憶測で物を語るべきではありませんよ。ですが目の届かない場所で色々されるのは面倒です。なので」
「貴方には彼らと親しい仲になっていただきます」
 「Yes Mom」
 「件の青年の拘束はあの程度でいいんですか?」「あんなん形だけだ。地下の壁は頑丈にしてるからいいのよ」
 キ「それに目を覚ましても逃げる素振りがなかったからな。警備の方が警戒すべきかもしれん」
 …
 「この世の真実を知ったとき、生徒だけでも守らねばと思いました。そのために父を失脚させて校長になったはずが…」
「結局生徒たちを利用するしかないんですね」
 「そういえばこの子何て名前にする?」「連れてきてたの!?」「知るか!魔女ならファミュルとでも呼んどけ!」
 「有難う!いい名前だね!」「えっ!?」「煽りに強いなこいつ」
 「名前決まってよかったねファミュル」
 「仕方ねぇさ、他に方法があるかよ」
「せめて彼らがこの事実を受け止めきれるよう、祈る他ありませんね」
 …
 「ごめん、俺ちょっと暫くは研究所に顔出せないかも」「ええっどこ行くのよこの忙しい中」
 「白兎を追いかけに」〈Julius university / Sony=Zeal=Jones〉

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