002:THINK ABOUT U

「さすが始祖名家!もう複数のチームに勧誘されてんだろ?」「すごいなぁルシウス」「ひとえに僕の実力さ」
 「まあ僕の所属チームは入学前に既に決まっているけど…」
 …
 …
 「…‥‥」「なんだ‥あれ?」
 「お疲れ様ですヒスイ」
「彼の身柄は正式に我々で預かることとなりました」「いいんですかね?あいつ色々普通やないですよ」
 「俺と校長の意向だ。心配すんな、お前も実力があるから俺のチームに入れてるわけだし」「わっ」
 「やめんか中年!臭いが移るわ!」「こらヒスイ!」
 「ですが今のはシキ先生にも問題があります。独身に甘えないで女生徒との距離感を把握して下さい」「ええっ!?」(辛辣‥)
 「職務に戻る…」「ご自由に」
 「ただいまー」
「すごいわねあんた達。入学初日で無傷の勝利!大物になるわよー」「キサさん」
 (あ‥朝のカッコいい人‥)「おかえりなさいキサ。先程男を拘束したのですが」「え、そう」
 「じゃあ寝るわ。肉体労働ないなら」「せめて着替えなさい!(あ‥‥朝のカッコいい人‥)
 「あぎゃ~~~~ッ」
 「ガラナイツ!やべぇぞあのモヒカン野郎!」「シワス、来客中ですのでお静かに」
 「っていうか体もそうなんだけど頭の鶏冠はどうなってんだよ何時間セットしてあんな綺麗な形になるわけワックスが」「あいつ今何徹目よ」「シワス、報告済んだら寝てください」
「あいつの体、真銀でできてやがる」
 「‥ま、真銀って‥人間じゃないってことですか?」「あ゛!?」
 「誰お前可愛い顔してんな!新入生!?またゴスな戦闘服選んでんな~!医療科?技術科?」「はじまった」「せ…戦闘科です‥」「戦闘科!!激しいセックスできるなぁじゃあ!!!」「はっひ!?」
「手前はお姉ちゃんかな~?姉妹丼」ゴンッ
 「そのまま二人に予習をお願いできますか?」「喉゛潰゛れ゛る゛ん゛で゛‥」「潰れなさい」
 「真銀<アルティメットシルバー>、銀の中の王様。微弱な電気に反応し、気体・固体・液体の全てに形を変える。極めて特殊な銀」
 「人間は体内の電気から信号を送り、固体真銀を武器に変える。〈真銀戎具〉ってやつだな。ゆえに真銀は本人の意思とは関係なく各々にとって最も適した形を成す。だからヒスイは脚なくす前は普通の形だったかもな」
 「かっこいいやろ?」「かっこいい!」
「では問題、ウィチェストはなぜ真銀戎具でマジシャンを倒すのか」「えっあっの‥」
 「真銀以外はすり抜けるからでしょ。銃弾も人間もあいつらからは触れるけどこちらからは触れない。真銀を除いて」
 「どうして真銀はマジシャンに接触できるんだ?」「えっ」
 「そういえば…なんで?」「不明なんだなそれが」
 「今から仮説を言うんだよこのアバズレエロスーツ!!はい気体真銀振り撒いた~気体なんで触れませ~んわかる?」「お‥落ち着こう?ね?」
パキィン
 「気体真銀は固体真銀なら殴れる」
 「なのでマジシャンは気体真銀で形成されている可能性が高い。つまり俺は」
 「あのモヒカン野郎はマジシャンではないかと疑っている」
 「ありえん」「あッ!?」
「マジシャンが真銀なら笑死たち毒触ってるようなもんでしょ。大体あのモヒカン触れるし人だし、現実的に考えてもたまたま真銀が付着してたとか」
 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
 「んなこたぁわかってんだよ老害かテメーは!!仮説や定石を突き詰めて疑うのが科学の基本だ中二病!!偉いこと言いたいなら脳みそ詰めてこいや!!!」
 「たく」
 「ふーーー‥」
「今日は女と寝てくるから」「違う意味でも寝てください」「あいつ男だったの‥?」「あの変なので生やしとるん。ヘテロ趣味のバイやね」
 「けど…」
 「真銀の体か…確かに普通じゃないわね‥‥」
 「そもそもその男は何であんた達を襲ったのかしら。別に面識だってないんでしょ?」
 「‥‥もし彼が気になるのでしたら」
 「お二人も私達のチームに入りませんか?」
…
 「すみません唐突すぎましたね!」「おいおいおい」「落ち着けリーダー!!」(シンパシーを感じる‥‥)
 「改めまして、先程の男性教諭、シキ・ヒャッキチの下チーム<暦>のリーダーを務めさせていただいております。医療科生、ガラナイツ・ジェニーです」
 「あ、じゃあここって寮なんだ」「個性的ですね」「すみません趣味がバラバラで…」
 「ではまずチームとは何かを説明しますね!」「この切り替えよ」「ずばり学校が大企業とするならチームは子会社に近い関係性でして、パトロール他、主に学校に委託される依頼が仕事になります!」
「これは大体のウィチェストが公的機関や民間企業等の組織に勤めるので就学中に経験を疑似的に積むのを目的としたシステムです。なので会計等卓上業務も自らのチーム内の仕事です」
 「依頼は主に行内の依頼案内所で探します。因みにチーム寮も校内区域になります。大抵の依頼はウィチェストと共同ですが顧問教師がついているチームしか受けられない依頼はこれに限りません」
 「我々は顧問紹介依頼しか受けたことないですけど」「そんなに大変?」「三人から組めるけど四人でも足りんね。そのための勧誘」
 「三人?学科は四つなのに?」「生徒比率が偏っているので学科の縛りはないそうです。我々も兵法科はいませんし」
 「あとはまず素行不良で退職になったり活動不振でチームが解体ということだけ覚えておけば良いかと」(素行良行?)「あいつはあれで有能なのよ」
 「とはいえチームはいつでも辞められますから、気になるチームには思い切って入るのが良いですよ」「は、はいっ」
「じゃあボクここに入ってもいいですか?」「ヴェッ!?!」
 「お思い切りが大事だとは言いました!が!良いんですか!?いえ貴方を勧誘するのが私の目的でしたが!!」「ちょ!ちょっと」
 「そういうダブスタ良くない!貴方の人柄の良さはわかるけどそれって遠回しの脅迫だから!」「正論有難う」「すみません」
 「あんたもその内気で大丈夫?良いチームかもしれないけど全員変わり者だよここ」
 …
 「‥‥ここが良いチームという保証はありません」
「しかもあのセクハラ大魔神がいますし、無国籍感すごいですし‥、あと私も人として未熟というか…」「ネガキャンが過ぎる!」「間違いなくやばいチームではあるな‥‥」
 「個性を尊重してるってことですよね」
 「あっえっと」
 「ボク、人と変わってるって言われて」「『人と』というか『人が』というか…」「違いを認め合えるのが羨ましいって感じて」
 「だから、最後違うチームに入ることになっても、ボクの最初はここがいいのかなって‥」
「じゃあ、何かの縁だし、私も入ります」
 …
 …
 「やめさせないよう最善を尽くします!!」「言い回し重っ」
 「あっ違っ違うんですよ!ただの意気込みでして!ねぇキサ!」「寝ちょお」「この状況で!?」「自由すぎるでしょこの人‥‥」
…
 パキ…パキ…パキ…パキ…パキ…
 「戦闘科キサ・フェブリエに、同上石江戸・ヒスイ・エメラルダスと、技術科シワス・ピエル・ヒヤシンス」
「キャラにインパクトあって逆に名前がわかんない」「ゆ‥っくりでいいと思う‥ます‥‥」
 …
 「あいつ!」
バキャン
 「それは!?」
 「コウモリ‥かな?尻尾が長いけど」
 「蝙蝠?何でここに」「わかんない。誰かのペットかも」
そっ
 「そ‥そういえばあなたの真銀戎具、大斧だよ‥ね?ボ‥ボクもそうで‥‥」「‥‥」(なんなの)「だから‥その」
 「うれしいっ」
 …
 …
「戦闘科一回生オリビン。よろしくね」
 「トパゾスですっ。せ‥戦闘科で‥よろしくっ」
 …
 ぐわんっ
 …
 …
…
 …
 「え」
 「トパゾス!?大丈夫!?」「う‥うん…静電気強くてビックリしちゃって」
 (静電気なんて起きたっけ‥‥?)「ならいいけど‥あの私あの男の子とどこかで見た記憶が…‥‥」バサッ
 バサッバサッ
「さっきの蝙蝠?」
 「え?何で!?ボクについてくるっ。この子血とか吸うのかな?フルーツコウモリっぽいのに」
 「飼っちゃえば?」「え!?誰かのペットかもしれないのに‥」「じゃあ迷子の里親ってことで」
 「心配ならチップ調べてみたら?ないと思うけど」「さ‥探したほうがよくない?飼い主さん‥‥」「名札ついてないならロクな人じゃないよ」
 「貴方の服、魔女っぽいからお似合いだよ」「パパに似合ってないって言われた‥‥」「そう?私は好きだけど」
(しくじったなぁ‥校長あたりに捕まる予定だったのに……)
 (ま、俺の仕事はそんな変わんねぇからいっか。‥それよりも)
 …
 …
 (しばらくかかるだろうし寝とこ)
 (寝るなんて何年ぶりだっけか?)

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