001:BAD GIRL

(ここは‥‥)
 (どこなんだろう‥‥)
 「ああ‥‥やった‥成功だ…。我々の犠牲は‥無駄ではなかったんだ」
 「私達は‥」(あれは‥私?)「全ての生物の救世主となるんだ!!」
 「マジシャンの存在と、真銀によって!!」
…
 …
 「また変な夢‥」
 「トパゾス―ごはんできたから降りてきなさーい」「はーい!待ってーママー!」
 『マジシャンが一層活発化し行方をくらましたウィチェストの数も最近増加してきています。本日は新たな候補生の就学も始まりますが始祖名家の方々のご意見を――――』
「またマジシャン増えたのかな」
 「ウィチェストになれる人もっといるといいのにね」「そうだなぁ」
 …
 「やっぱりその服お姉さん過ぎない?」「そうじゃないしそのうちお姉さんになるもん!」
 「じゃあ元ウィチェストである私から…」
 「頑張ってね、新人さん♪」
 「うんっ」
『戦闘服・制服改良に加え携帯型通信機器の一般普及、文明が後退した喪失期以前に比べればウィチェストの平均寿命はかなり伸びたと思われます。私の後継者のトーマスも候補生として入学したため界隈全体も大きく賑わうことでしょう』
 「ルシウス様、何歳になっても素敵だよね~」「でもシキの方が撃破数多いだろ」
 「そんなこと言うならサチの方がシキより強いし!」(シキ=ヒャッキチ先生かな)
 『(日本人なんだ?珍しい。この人がお兄ちゃんの言ってた…)
…
 …
 「うわああああああああああああああああああああああ」「パキ」「パキ」
「マジシャンだ!」「一人食われたぞ!」「ウィチェストはどこいるんだよ!?」
「ひぃッ」「ひィッ!」
【MUSCLE TITAN】
 ガシャアアアア
 「あんたどこから来たの?」
 「なんて、マジシャンが答えるわけないか!」
バキィン
 シュウウ‥
 わああ
 「いいぞー!姉ちゃん!」「抱いてー♥」(かっこいいー!)「どーも」
 (すごいの見ちゃった)
 (あの小さい子も候補生?)
『生命の血肉を食糧とする異形の怪物<マジシャン>。彼らは20性器初頭突如として現れました』
 「未熟者だが良い腕だ。臆するか?」
 「死にかけっすよ?さっきの」
 『マジシャンには動物は勿論人間の意思も通じません』「誰かに変わりを頼んでもいいぞ」「俺はあんたの孫かよ」『彼らとの共存は不可能です』
 「捕まるのはともかく他の仕事は俺以外できないでしょ」
 「私含めお前以外はロクでもないからな」「自覚してんならこのクソ長い時間で直しといてくださいよ」たく…
「場所がわかり次第迎えに行く」「俺も色々探っときますね」
 「今日は若い候補生の肉食えるぞお前ら~」
 『白い鎧と黒い虚空に対抗することができるのは、真銀を扱うことのできる選ばれし者<ウィチェスト>だけです。』
 『君たち候補生が立派なウィチェストとなれるよう心から願っています。ウィチェスト組織総合機関<銀の社>統率、エドワード=ラブレーより』
「以上一番偉い人からの有難いお言葉でしたっと」
 「じゃ、俺、志木百吉からも一言。ウィチェストの戦闘服は死装束とよく言うが」
 「くれぐれも卒業前に死なんようにな」
 「では今日はユリウス学園内の自由見学ということで解散!」「えっ‥‥」
 ざわざわ「‥っ‥!」ガタ
「朝食食べ忘れちゃって」「食堂行こ」「あ…のの‥」
 「ぼ‥ボクと‥」「実技見に行くか」「やってるか?今」
 ・・・・・・・・
 ず~ん…「ねえキミ」
 「かっこいい戦闘服してんね」「一人なら俺らと回らない?」
 「ごめん興味ない」「あっ」「くっそ同期で一番いい女なのに」
「やったらチームは興味ない?」
 「新入生さん入学おめでとぉ~」
 「チームって何?」「入学んときの説明ちゃんと聴かんかい!」
 「生徒たちがやる疑似会社っちゃ。仕事すれば給料入るし寮もあるばい」「ふーん、いいかもね」
 「それじゃ」「待てや!!」
 「お前散々人払いさせといて信じられんぞ!!」
 「ご‥ごめんお腹すいて…」
「まあウチも君を勧誘するかはわからんけんが‥」「誰か探してるの?どんな子?」「君、付き合い悪そ―やけど知り合いおるん‥?」
 …
 「あ、いた。ねえ君」「はい!?!」
 「お前こんな幼子虐めんと」「いや、この子コミュ障でビビってるだけだよ」「え、あの、15歳なんですけど」
 「「同じ年!?!?!」」「ひっすみません‥」
「ウチはヒスイっちゅーと。君は?」「と‥トパゾス‥です」「おお!トパゾス!?」「…‥」
 (どっかで見たことあるんだよなぁ、この子)
 「!!?」
 ダッ「わっ」
ガギャ
 「ひと思いに殺してあげたかったのに避けちゃったのかー」
 「え?マジシャン」「何かいこいつ!?」
 ピィー!
ゴオオオオオオ
 「な、何なんこれ」「俺の不思議の国へようこそ」
 「今日は女王様はお休みDEATH。俺が直々に首を刎ねてやるよ」
「はい死刑」
 スッ
 【将門HERO】
 「トパゾス!その子と一緒に人連れて来ぃ!」「え、でも」「わかった」
 「え、え」
「無理なんだなぁこれが」
 「ん?」
 ドドオッ
 「あっやば、人間が喰らったら死んでしまうばい」
 …
ブォン
 「いい義足してんね」
 「」
 「あんた‥本当に人間なん?」
 (どう考えても人間技じゃないでしょ!!身体縮ませるなんて!)
(だいたい、あいつ完全にマジシャンを操ってた)
 「何であいつマジシャンと一緒にいるの!?君、何か知らないの!?」
 「…」「ご、ごめん知るわけないか」(大丈夫かこの子)
 スッ…
 「ごめんちょっといい?」
 スタスタ
 「ねえちょっと」
…
 …
 「なに…これ‥‥」
 (まさか全員こんなのになってるって言うの!?どうして!?)「止まれ」
 「…は?」「どこまで歩いても同じだ」
 「それどころか余計に破綻が酷くなるぞ」「何なの急に!?」
「この空間には俺達以外の人間は存在しないと言っている」
 …
 …
 ぐにゃあ「あ!」
 「確かに…遠くの風景が不安定だ‥」「人一人が作り上げる空間だ。完璧な酷似は不可能だろう」
 「あの娘と俺達の陰が矛盾しているのを見たか。この幻覚は術者から離れるほど景色が破綻していく」
「じゃあ果てまで辿り着けば」「矛盾に気づいている時点で現実に戻れないんだぞ、果てがある類いの幻覚じゃない」
 「あんた‥この状況慣れてるの?やっぱり何か知ってる?」「さあな、原理は知らんが…」
 「あいつを倒せばなんとかなることはわかっただろ」
 「あの男とマジシャンをそんな簡単に倒せる?!」
「無理だな」
 ガンッ
 「ペット側にも理性がある。湧いて出る奴らとは別と思え」『食うより攻撃‥!?んなバカな』
 「レース」
 「軽口を叩いて思考の整理を妨害する。あいつも狡猾だ」
「倒したいなら」
【NEO VULTHOOM】 「奇襲に限る」
 「ちっ」
 ドシャッ
 「人呼んでくれた?」「呼べなかった」
 「お前もコミュ障かい!!!死ぬか生きるかっちゅーときに」「これ幻覚なんだってば!!」
 「は?、??えっじゃあトパゾスはどこなん?」「あの二重人格の子?知らないどっか行った!」「はぁ!?」
 「奇襲はもう慣れたよ」
「ま、クマに襲われたと思って死んでくれよ」
 オオオオオ
 「いいか!?あいつらの弱点は黒い部分やきね!」
 「未経験を即戦力として採用して悪いけんが‥」
「行け!!」
 ブオン
 (さすがにこいつにゃ傷付けらんねーや。狙うべきは)
 パキイィ
「ばぁ」
 …ボン
 「その行動は読んじょうわボケカス!!」
 「俺もだよ」
 「それ」
 「もう弾ないだろ」
「不思議の国はアリスの夢の中」
 「理不尽な夢に勝つ自信はあるか?!」
 …
 …
「【KING HADES】」
 トン
 パキパキパキパキパキ
 …
 …
「よく聞け。不意打ちと奇襲の攻撃は最初から読まれている。策に嵌める人間はある程度相手の動きを予測しておくからな」
 「経験の劣るやつが使える手段は奇襲しかない。元々一番警戒されている策だということを覚悟しておけ」
 「じゃあ通用しないんじゃないの?」「するぞ」
 「何故ペット二匹だけで襲ってきたのか考えろ、慢心しているからだ」
 「策を見え透かせて油断させろ。今のあいつに一番効く」
…
 「じゃあ私が先に行くけど、その大層な自信で失敗したときは」
 「それでも絶対守る!!」
 「ので‥その‥ボクと‥お友達になって、ください‥」
 …
 「…‥検討させて」
…
 (ま‥マジシャンにダイブした、気ぃ狂ってんのかこのガキ!?)
 (けど、機動力ゼロの大斧ってのがもう不運だ)
 (な)
 …
「にぃ!?」
 ドゴッ
 「く‥首骨折した‥」
 (あ‥走馬灯。こりゃ久々に死ん…)
 (あ?)
 (確かに似てるっちゃ似て…いやっ‥?!似てるってレベルか!?)
(こいつ…俺らが殺したガキじゃねーか!!)
 …
 「死んでないよね?」「いや‥わからん」
 「ひ‥人殺しちゃった‥‥」「まだわかんないでしょ!!」「どっちにしろお持ち帰りよ。ちょお顧問に連絡するわ」「連絡手段あるならあんたが逃げろよ!!!」
 「ご‥ごめんなさい…ボクこんなつもりは‥」「もしもしシキ先生、言いよったやべー奴来たかもしれんのやけど」」「入学初日に偶然変人と会ったのか?候補生が全員こうなのか?」

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